子供の頃、とにかく映画といえばテレビで見るものだった。
金曜の「金曜ロードショー」水野晴郎、
土曜の「ゴールデン洋画劇場」高島忠夫、そして
日曜は「日曜洋画劇場」淀川長治。
なんとなく、金曜は全年齢向け、土曜はちょっと大人め、日曜は名作、といった
イメージがある。それぞれの解説がまたいい味を出していた。うーん懐古。
(「木曜洋画劇場」木村奈保子はマニアックでやや敬遠していた)
しかし悲しい思い出もある。
いつだったか定かではないが、その日は「ターミナル・ベロシティ」を見るべく
昼から心躍らせて学校から帰ってきたのだ。
チャーリー・シーンを普通にかっこいい人と思っていた頃である。
いざ9時になり、テレビをつけると、まだ野球中継をやっていた。
「延長戦のため、映画は9:30より放送いたします…」
ちっ、と思いつつ、30分わくわくしながら待った。
そしてまたテレビをつけると、まだ野球がやっていた。
「延長戦のため、映画は10:00より…」
まじかよー!終了するころは12時かよ!と思いながら悶々と待った。
そして10時になり、おそるおそるテレビをつけると、
「延長戦のため、映画は日にちを変更して来週お届け致します…」
なにか、今で言うクライマックスシリーズのような重要な試合だったために
いつもなら途中で切られる野球がその時だけは最後まで放送されていたのだと思う。
野球業界とテレビ業界との醜い癒着、映画を蔑ろにする浅はかな倫理観、
視聴率第一主義、終了時間すら決められていないスポーツ、裏切り、憎しみ、etc...
映画少年だった僕がテレビ業界の闇を垣間見た出来事であった。
思い出してもムカムカしてくるなあ。
今ではテレビでリアルタイムに映画を見ることは皆無になってしまった。
スポーツ中継は今も映画開始時間を押しやっているのだろうか。
映画館に行けない、ネットも使えない若い映画ファンたちよ!
編成を憎んでスポーツを憎まず。
「クールランニング」を見てスポーツの楽しみを思い直すのがいいですよ。
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